合格体験記〜第3章〜

ところが、いつまでもこのような生活は続かなかった。
学部生と違い、私は大学院生である。
実験もこなさなければならず、学校を放棄するわけにはいかないのだ。
次第に予備校に通うペースは鈍り、10月末には週末にしか行かなくなってしまった。
果たしてそんな遠い予備校に通ってまで2時間の講義を聴く価値があるだろうか。
そう開き直ったのだ。

11月の半ば、第一回の模擬試験が行われた。
模試は教養のみ。
他の予備校では技術職の模試もあるらしいが、東京アカデミーでは農学職は無く、技術職には限りがある。
この模試の結果であるが、非常に悪かったのを覚えている。
志望先の判定はもちろん、E判定。
勉強もたるんでいた時期で、こういう結果となったのも仕方が無い。
何とか上手くいくだろう、という考えは論外だということを思い知らされた。
予備校の授業だけでは決して太刀打ちできない、そう実感した瞬間だ。

ここで私はふと思い出したことがある。
私の同期生で、既に卒業し、県庁に入庁した友人から受け取ったテキストがあることを。
それは『公務員試験マル秘裏ワザ大全』という本だった。
公務員試験における裏ワザを綴ったものである。
公務員試験の(一般には一次試験)最大の特徴は、5者1択であること。
ヤマ勘でマークしても、20%の確率で正解できる。
その選択肢の中に、隠されたヒントがあるという。
半信半疑だったが、確かに言っていることは間違っていない(と思われる…)

私が大きく語りたいのは、本書ではない。
この本は洋泉社という企業から出版されているが、同じ洋泉社の姉妹本の方を強く推奨したい。
まず『公務員試験 受かる勉強法 落ちる勉強法』である。
公務員試験の勉強をする際に使用するテキストの紹介や具体的な学習方法など、基本事項が綴られている。ただし、基本と言っても私から言わせれば『楽をしたい人向け』の本と言える。
本書によれば、公務員試験に合格するためには600時間の勉強時間を費やせば受かるという。
私には到底、信じられなかった。
すでに予備校で思い知っていた。
公務員試験がどれほど広い範囲の知識を必要とするのかを。
だが、本書が必勝法だの裏ワザだの、自信を持って書いている以上は間違いないのだろう…そう思った。
というより、予備校の正攻法的な学習で十分な効果が得られなかった以上、この本に従って勉強するしかないと踏み込んだのだ。
また、もう1冊の姉妹本。
『カリスマ講師のマル秘授業公開』…どれほどのものか興味はあった。
教養試験において、数的処理が解けるか解けないかで運命は大きく左右される。
いかに楽をし、いかに短時間で解答を導き出すかを綴った本である。
基本は『あてはめ法』であり、これを知っているのと知らないのとでは天と地の差がある。
今までバカ正直に方程式を立てて解答を得てきた自分が愚かに思えてならなかった。
上記、2冊の本は今後の学習における最大のパートナーとなった。

これらに従い、学習を進めていったところ、12月半ばに行われた第2回目の模試では判定をD判定にまで持ってくることができた。
たかがワンランクと言えども、自分の中ではなかなかの出来だと確信していた。


第4章へ続く〜☆